山形大学农学部(酸性雨ー会长).pdf

特　集　号 山形県における酸性雨に関す る話題 目　　　次 巻頭言 　　 … 山形大学農学部 （やまがた酸性雨ネ ットワーク会長）　　上　木　勝　 司 ……… １ やまがた酸性雨ネ ットワークの活動について 　　 ……… やまがた酸性雨ネ ットワーク事務局 （山形県環境科学研究センター）……… ３ 酸性雨の発生源を求める 　　 … 山形大学理学部（やまがた酸性雨ネ ットワーク副会長）　　柳　澤　文　孝 ……… ６ 「異常な紅葉」 「無残なナラ」対策を考えよ う 　　 …………………………………………… 山形大学理学部　　西　 田　雄　三 ……… ９ 酸性雨と森林　－亜硫酸ガスの暴露実験と南庄内における断片的な研究事例－ 　　 ……………… 山形大学名誉教授、元農学部附属演習林　　塚　原　初　男 ……… １２ 鶴岡市における酸性雨の現状 　　 ……………………………………… 鶴岡高専物質工学科　　小　谷　　　卓 ……… ２１ 県内の森林 ・農耕地土壌 と酸性雨の影響 　　 …………………………… 山形県農業総合研究センター　　熊　谷　勝　 巳 ……… ２７ 酸性雨の原因のひとつでもある大気中二酸化窒素に関す る県内調査について 　　 ………………………………………… 東北公益文科大学　　大　歳　恒　彦 ……… ３１ 山形県米沢市における降水中の主要イオン成分の動態 　　 ……………… 山形大学工学部　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　志　 田　惇　一、遠　藤　昌　敏、水　 口　仁　志、 　　　　　　　　　　　　　千　 田　幸　志、山　 田　大　輔、中　野　康　夫 ……… ３５ 編集後記 （特集号の試み） 　　 ……………………………… 山形大学環境保全センター　　土　橋　陸　夫 ……… ３９ 巻　頭　言 山形大学農学部教授 （やまがた酸性雨ネ ットワーク会長）　　　　 　 上　木　勝　司　 　　本号の 「環境保全」は、「山形県における酸性雨」についての特集 として、やまがた酸性雨ネ ットワー クの会員に広 く投稿の機会を与えていただいたものである。やまがた酸性雨ネ ットワークは、酸性雨に係 わる調査や研究ないしはそれに関連 した事業に取 り組んでいる山形県内の大学や高専、国公立研究機関、 計量証明関係企業、行政機 関の研究者や技術者、職員 と市民団体の会員のための情報交換 と交流の場であ り、設立当初から山形大学 （理、工、農の ３学部 と環境保全センター）の教員が深 く関わってきた。本ネ ッ トワーク設立の 目的は、一つには各機関 ・組織や研究者 の間の交流を密にし、山形県における酸性雨研究 の一層の推進を図るとともに、県内の酸性汚染物質降下の状況 とそれによる環境への影響を把握し、山形 県の酸性雨対策に資することにあり、今一つは県内教育機関における環境教育への支援 と県民の環境意識 向上に向けた社会教育活動の推進にあった。そして、平成１３年 ７月の設立以来、総会 と交流会を年一回ず つ開催 し、会員から自身の研究や環境問題に関連 した研究の必威体育精装版情報を紹介してもらうなど、研究面での 交流を深めるとともに、県内の教育機関 （小 ・中 ・高等学校等）などに呼びかけて、平成１４年からは毎年 １１月に酸性雨一斉調査を、また平成１５年からは併せて二酸化窒素の調査を実施してきた。この酸性雨一斉 調査は、初年度は合計５０の教育機関 ・組織 ・個人の参加による実施であったが、平成１７年度には７１教育機 関、２４組織 （市民団体 ・企業 ・行政機 関）・個人の参加で、山岳地域以外は、くまな く県内をカバーできる 程の壮大な観測網が組織 されるまでになった。なお、ネ ットワークの組織も、平成１６年度には県内の計量 証明関係企業 ８社に参加いただ くなど、産 ・官 ・学 ・民にわたる幅広い組織へ と成長 している。 　酸性雨問題が国民の間に広 く知 られるよ うになって約２０年になる。旧西独のシュバルツバル トの白骨 と 化 した枯木が林立する墓場のような光景など、森林衰退の実態がテレビ放映され、多 くの人々が環境問題 の深刻 さに衝撃を受けたのは１９８０年代も半ば過ぎのことであった。当時わが国では環境庁による第一次酸 性雨対策調査が進行中であり