政策研究报告书.pdf

　　政策研究報告書　第８号 　　　　　　　　　　　　望ましい管理職選考と 　　　　　　　　　管理職等研修の在り方に関する研究 　　　　　　　　　　　　　　平成９年３月 　　　　　　　　　埼玉県立南教育センター　政策研究部 表紙 １》　はじめに ２》　２１世紀の管理職像 　　１　管理職に求められる人間像 　　２　今後の管理職に必要な資質 ３》　管理職候補者の選考 　　１　現状 　　２　今後の課題 ４》　管理職等の研修の在り方 　　１　現状と課題 　　２　今後の検討事項 ５》　研修体制の整備 　　１　現状と課題 　　２　魅力ある、充実した研修のための整備 ６》　校長対象アンケート集計結果 ７》　教頭対象アンケート集計結果 ８》　おわりに 主な参考文献 奥付け １》　　は　じ　め　に 　２１世紀を目前にして、高齢化、国際化、科学技術の発展に伴う情報技術の進展等、社 会の変化は著しく、それに伴って、教育をとりまく環境も大きな変化が生じている。とり わけ、人生８０年時代を迎えた今日、人々は、生涯にわたって学習しようとする方向に進 みつつあり、教育に対する考え方も変化の兆しを見せている。 　こうした状況の中で、学校教育に対する県民の期待も一層大きくなると考えられるが、 それに応じて学校の役割は益々その重要さを増すものと思われる。 　一方、いじめや登校拒否等、児童生徒の在り方が大きな社会問題となっている。また、 交通事故や体罰など、教職員の教育者としての自覚、モラルなども社会的な批判の対象と なっている。これら、山積する学校教育にかかわる諸課題を解決し、県民の負託に応える ため、管理職に課せられた責任は極めて大きなものがある。 　したがって今後の管理職は、明確なビジョン、決断力と課題解決能力等を備え、時代を 先取りした学校運営を推進できる力量が求められる。 　管理職がこのような資質・能力を高めていくためには、不断の自己研鑽を積むとともに、 単なる教職研修にとどまらず、種々の研修機会に参加し、自らの人間性の向上を図ってい かねばらない。 　本県はこれまでも総合的な視点に立って管理職候補者の選考を実施し、また、管理職等 の研修を行ってきたが、今後は上記の点を踏まえた高等学校等管理職候補者の選考及び管 理職等の研修の在り方を改善していくことが必要である。 　こうした現状に鑑み、今後の学校の在り方を見据えつつ、高等学校における「望ましい 管理職選考と管理職等の研修の在り方」に関する研究を行うこととした。 ２》　　　２　１　世　紀　の　管　理　職　像 １　管理職に求められる人間像 　すでに明治時代において、澤柳政太郎がその著「教師及び校長論」の中で、「校長た るの資格」として、 　　１】　誠実、真面目である　　　　２】　度量寛宏である　　　３】　同情に富む 　　４】　公平無私である　　　　　　５】　責任を重んずる　　　６】　意志が強い 　　７】　気力がある（剛毅、決断)　 ８】　沈着（冷静、沈着）で動揺しない 　　９】　思慮が深い　　　　　　　１０】　淡泊で表裏がない　１１】　理想を持つ の１１項目をこの順位であげている。これらの中で人柄にかかわるものとしては、「誠 実」「真面目」「度量寛宏」「同情心」「冷静・沈着」「淡泊」などをあげることがで きよう。 　また、現代の教育経常研究者の多くが、リーダーに必要な人格的資質・人間性として、 「品性」「人間愛」「包容力」「誠実」「教養」等をあげている。 　さらには、県内の高等学校・特殊教育語学校の管理職に対して当センターが今年度実 施したアンケート調査「望ましい管理職選考と管理職等研修の在り方に関する研究」 （以下「アンケート調査」と言う）における質問事項「日常教職員に接する場合の留意 事項」に対する回答によれば、上位５項目に以下の事項があげられている。 　　１】誠実・公平な姿勢を保つ　　２】教職員の意見を聞く　　３】明るい態度を保つ 　　４】毅然たる態度をもつ　　　　５】よく相談にのる 　現代のように変化が著しく価値観が多様化し、極めて先行き不透明な時代においては、 上記にあげられている項目全てを身に付けていることが理想であるといえる。しかし、 現実にはすべての管理職にこれを望むことは難しい。したがって、管理職は自己理解を 深め、自ら長じているものとさらに研鑽に励む必要があるものを自覚し、自らを高めて いく努力をする必要がある。また、管理職の任命権者である教育委員会は、管理職に求 められる普遍的な人間像を確立するとともに、時代の要請に応えうる管理職像を把握し なければ