1021堂前.ppt

* このように、トラブルが発生したその問題の部分に焦点を絞って、そのトラブルを発生させる原理や原則といったものを「なぜ①」で考えることにより、より多くの容疑者を洗い出すことができます。これこそが、本当の犯人をつかまえる第1歩となるのです。優秀な刑事が刺殺死体の切り口をじっくり観察するのと同じことです。 * 　スナミ君は、ネットに対して直角に飛んでくるテニスボールを、相手のいる方向に返すことができません。 　「なぜなぜ分析」の出だし（なぜ①）をどのように考えれば良いのでしょうか。 　この場合も、まずまっすぐ飛んできたボールが間違った方向に飛んでしまう原理?原則を考えてみてください。方向というのは角度の問題であり、どの角度かというと、ラケットとボールの当たる角度の問題であるということになります。つまり、ラケットをボールに当てるときの角度が相手に対して垂直方向に向いていない、ということになります。 　では、「あるべき姿からのアプローチ」で分析した「ボルトが回らない」ということを、今度は「原理?原則からのアプローチ」によって分析するとどうなるでしょうか。 回答は次のようになります。 * 　問題が発生する部分に焦点を当てて、それが発生する原理?原則から「なぜなぜ分析」をするには、訓練が必要です。ただし、問題となっているものが、人間の感情や行動といった不可解なもの以外のものであれば、おおかた、「力」とか距離、角度、タイミング、熱量といった高校の物理に出てくるような言葉で、その発生している部分をとらえることができます。 * 　では、さらに「原理?原則からのアプローチ」に慣れるために、次の問題を考えてみましょう。 * 原理?原則からのアプローチ * 　このように、分析の出した部分の考え方の違いから、「なぜなぜ分析」には２つのアプローチがあることがわかります。 　「あるべき姿からのアプローチ」は、まず、発生した現象をその構造に沿って、目で見てわかりやすい単位で、その現象を起こさないようにするための必要十分条件項目を列記します。そして、その条件項目に対して現物で調査して、その中で異常が認められたものに限って分析を始めていくやり方です。（上図） 　これは、ある現象を解くにあたって、分析の始めの段階で問題点を絞り込んでしまおうという分析のやり方です。したがって、その列記した項目に抜けがあったり、項目と項目の間に関連性があったりすると、真の犯人が見つけにくくなります。 * 　もちろん、項目に抜け落ちという点では「原理?原則からのアプローチ」の場合でも、分析の途中で同じことが言えます。しかし、犯人に行き当たる確率を考えるとどうでしょう。分析の始めの方で抜けがあればあるほど、明らかに犯人に行き当たる確率は下がっていきます。 　前途の「ボルトが回らない」についてのそれぞれのアプローチによる分析を比較してみると、そのことがよくわかります。次ページへ。 * 　「原理?原則からのアプローチ」の中の太線で囲んだところが、「あるべき姿からのアプローチ」には見られなかった新たな犯人を見つけ出しています。 　ですから、分析に際しては大きな抜けを生まないためには、 「あるべき姿からのアプローチ」をする場合は特に、その問題の発生している部分の「あるべき姿」を十分理解してから始めなければなりません。つまり、現物を見ながら、各部分の役割や必要十分条件をしっかり調べて確認してから、それに基づいて比較調査を実施して分析に入ることを心がけてください。 　では、この2つのアプローチをどのように使い分ければよいのか。これについての厳密な使い分け基準のようなものはありません。しいてあげるとすると、現象が比較的わかりやすく、班員が単独犯に近い場合には「あるべき姿からのアプローチ」が適していると思われます。一方、「原理?原則からのアプローチ」については、現象の発生メカニズムが比較的わかりにくく、犯人が複数犯の場合に適しているでしょう。 　ですから、初めはわかりやすい現象に対して「あるべき姿からのアプローチ」で分析を行い、分析方法に慣れてきたら、ちょっと解くのがむずかしそうなものに対して、「原理?原則からにアプローチ」で分析すると良いでしょう。 * ポイント① 「現象」や「なぜ」のところに書く文章は、短く簡潔に「○○が○○した」という形にする。 　たとえば、「現象」または「なぜ」のところに、「電池の寿命が切れたから懐中電灯がつかない」といった文章が書かれてあったとします。そうすると次の「なぜ」は、「電池の寿命が切れた」の方向からのものしか出てこなくなってしまいます。また、「電池の寿命が切れた」ということが、まだ確認していない推定されるものだとすれば、このような犯人を決め付けたような書き方をすると