尾去泽矿山及び须崎矶山産白铁矿.pdf

總61 研 究 報 文 本49(11) 上式はX軸 上に沿ふ容積變化の比率を示し,φ=cos-〓a/Lな る時に零と なる。即ちこの點に於ては容積の變化なく,その背斜軸側に於ては容積増 大し,翼側に於ては減小する。またこの脇界傾斜角附近に於てはtはTo に最も近き値を有する。歪力は地層の伸縮度に比例するものとすれば、そ の分布は最も尖縮せる翼部に最大,背斜部に最小である。 異型褶曲の累層　第八圖は並行・等形兩型褶曲の累層せる場合であり,中暦 面は便宜上,等形褶曲暦内に作圖したこるものである。この圖によつて三型 の褶曲相互關係を一層明確に知るを得可く,特に注意す可きは任意のT線 (暦厚・傾斜角の一定なる線)が 下方に至るに從ひ背斜軸に近づく鮎で,深 部に於ては並行褶曲の成立不能となるを示すものである。(未完) 尾去澤礦山及び須崎磯山産白鐵礦 理學 士　渡邊 新 六 緒 言 筆者は先に神津先生の御指導の下に福島縣赤羽根礦山産の白鐵礦の結晶 形態について研究し,その結果は既に本誌上に發表した。1) 神津先生は尚ほ之に關聯して,秋田縣尾去澤礦山及び伊豆須崎礦山産の 白鐵礦の結晶形態をも併せて研究すべき事を慫慂せられたこ。こゝにその結 果を發表するに當り,貴重なる標本を貸與せられ,且つ御懇切な御指導を賜 ったこ神津先生に封し,筆者は厚く感謝の意を表するものである。 白鐵礦の結晶方位の決定 測角に依る方法　既に前報告にも述べたやうに,筆者の實見し得たこ白鐵礦 1) 渡邊新六,岩石磯物礦床學,第十九巻,第一號,本18～27,昭13. 本50(12) 岩石 礦 物 礦 床學 總62 は殆んど常に雙晶であつた。而して測角其他の資料からこの雙晶結晶の方 位を決定するのに,往々誤に陷 る事のあるのを経験した。それは この雙晶 の各部分に相似た角度を以て傾く結晶面のあるためで,特に少數の單 圓測 角の資料からのみで,結晶方位を定めや うとする場合には,各面に多数の反 射像の見られる事と相交錯して,繁雜を來すことがある。 先づ面角だけについて述べると戸赤羽根産のやうな八面體状の結晶では ,結晶が單晶であるか,雙晶であるか,或は八面體状をなす四つの面の相會す る偶角がc軸 の方向であるか,或は又〔110〕 軸であるかに依つて,そ こに 現はれる四つの面の相互の傾は第壹表に示す様な關係で甚だ混雜 し易い。 この 表 を作 るに はBuergerが 定 めた 格 子恒数a=3・37A, b=4・44A及 び c=5.39Aか ら算 出 した a:b:c=0.759:1:1.214 を基準 として使用 した。 第 壹 表 この表ではl(OII)面 のみが見られる雙晶のものを示したが,之に前報 に述べたやうにe(IOI)面 も現はれる時には,更に繁雑となり,結晶方位を 定めるに當つて誤解を生じ易い。その上多くの場合,各面の反射像が多數 存在するから,此の表中のIO1°4′, IO4°5′及びIO8°42′ 或は79°4′ 1) Buerger Am. Min. 16, 361～395, 1931 総63 研 究 報 文 本51(13) 及び75°55或 は 70° I8′及び64°2′等に相當する測角値を定めることに 種々混亂を起し易く,注意を要する。 面角の測定のみで結晶方位を定めるには,この様に不明瞭になる場合が あるので,尚次のやうに種々の事項に注意して結晶方位を定めることにし た。 反射顯微鏡に依る観察　白鐵礦は斜方晶系の結晶であるから,c軸 に垂直 に作つた研磨面を反射顯微鏡直 交ニコル下で見る時には,その消光位 は 夫々a軸 に軍行及び垂直