国史迹田熊石畑遗迹整备基本计画(概要版)-宗像市.PDFVIP

　　 た ぐま いし はたけ 国史跡田熊石畑遺跡整備基本計画 ( 概要版 ) 平成 年 月 23 3 　宗 像 市 教 育 委 員 会 序 　本市では、平成 年 月にユネスコの世界遺産暫定リストに掲載されました「宗 21 1 像・沖ノ島と関連遺産群」の世界遺産本登録に向け、福岡県、福津市と共同で学術 会議やシンポジウム、市民協働事業などを進めているところです。 　このような取り組みの中、平成 年度に発掘調査を行いました田熊石畑遺跡より、 20 北部九州でも屈指の有力者集団の墓域が見つかり、大変注目をされました。市では 宗像海人族のルーツともいえるこの遺跡の重要性を十分認識するとともに、官民学 等関係者の皆様の大変なお力添えをいただき、遺跡の全面を保存する運びとなりま した。 　平成 年 月 日には市民はもとより国民の財産としての価値が認められ、異 22 2 22 例の早さで国史跡の指定を受けるとともに、公有地化までを終えております。 　平成 年度には、市民協働による史跡の整備活用を進めるべく、国史跡田熊石畑 22 遺跡の整備の指針となる基本計画を策定し、本書刊行の運びとなりました。この計 画をもとに、子どもたちの笑顔があふれ、誰もが楽しめる新しい時代の史跡整備を 目指し、鋭意取り組んでまいります。 　最後になりましたが、本計画の策定にあたり、市民ワークショップにご参加され 貴重なご意見をいただきました東郷地区コミュニティ運営協議会をはじめとする市 内の各種団体の皆様、並びにご審議をいただきました宗像市史跡保存整備審議会の 皆様に心から感謝いたします。 平成 年 月 23 3 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　宗像市教育委員会 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　教育長　城月　カヨ子　 　　　 1.計画策定の背景 　1)田熊石畑遺跡とは ・遺跡は、釣川左岸の支流である八並川と松本川に挟まれた、標高12mほどの河成段丘 上に立地しています。平成20年4月より、民間の開発事業に先駆けて発掘調査が行わ れ、当初予想されなかった弥生時代中期前半（紀元前2世紀頃）の墓域が見つかりま した。当時の宝器である武器形青銅器が、わずか6基の木棺墓から計15点も出土し、 北部九州屈指の有力者集団の存在が明らかになりました。また、環濠や竪穴住居、貯 蔵穴など同時代の集落遺跡も見つかり、宗像海人族のルーツともいえる重要な遺跡で す。 ・古墳時代の掘立柱建物（高床倉庫）群も注目されており、宗像君一族とのかかわりが 推定されています。 副葬品の装身具 発掘調査の様子 　2)国史跡の指定を受けるまで ・遺跡の重要性を受け、平成20年12月に は遺跡を救おうと市民有志が立ちあが り「田熊石畑遺跡の保存を求める会」 を結成し署名運動が行われ、あわせて 九州考古学会からも全面保存の要望書 が市へ提出されました。 ・市では関係部局や地権者と度重なる協 議を経て遺跡全面の保存を決定すると ともに、平成21年7月には文化庁へ史跡 指定についての意見具申を行ない、平 成22年2月22 日付けで「国史跡田熊石畑 遺跡」が誕生しました。 田熊石畑遺跡全景 指定理由は 玄界灘沿岸の東側に所在する弥生時代の集落遺跡。発掘調査により木棺墓 が確認され、調査した6基すべての木棺墓から青銅製武器が検出された。 北部九州における弥生時代の集落や墓制の在り方を知る上で極めて重要で ある。