新编相模国风土记稿.PDF

地 誌 し ん ぺ ん さ が み の く に ふ ど き こ う #２３ 新編相模国風土記稿 しょうへいざかがくもんじょちししらべじょ 作者：昌平坂学問所地誌調所 成立：天保12年(1841) 解 題 Keyword 江戸幕府の昌 平坂学問所地誌 • 官撰地誌 調所が『新編武 • 相模国 蔵風土記稿』 (#22、以下、必 • 間宮士信 要に応じて『武 • 「相州文書」 蔵』と略記)に 続いて編纂した • 「大日本地誌大 官撰地誌。近世 系」 後期の相模国に • 「新編鎌倉志」 ついての最も基 （翻刻本）『新編相模国風土記』 鳥跡蟹行社 • 「鎌倉攬勝考」 本的な史料であ 大住郡下糟屋村 太田道灌墳墓図 る。相模国は全 域が現在の神奈川県に属している。なお、本書は『武 蔵』の姉妹編になるので、前項の解題も併せて参照され たい。 成立経緯 文化７年(1810)から武蔵国の地誌編纂事業を開始した 昌平坂学問所地誌調所は、これと並行して文政７年 (1824)鎌倉郡から相模国の廻村調査に入った。相模国の 調査は文政９年まで高座・三浦・愛甲・大住の各郡で進 められた後、江戸府内調査のため一時中断したが、『新 編武蔵風土記稿』完成後の天保２年(1831)に再開され、 同６年にほぼ終了した。調査にもとづき天保年間に草稿 が順次作成され、天保12年(1841)『新編相模国風土記 稿』の原稿が完成した。浄書本の将軍への献呈時期は はっきりしないが、紅葉山文庫への入庫は嘉永４年 73 ＃２３ 新編相模国風土記稿 (1851)と記録されている。編集に従事したのは『武蔵』と同じく間宮士信 (まみや･ことのぶ)を筆頭とする地誌調所役人で、首巻の凡例には27人の名前が 挙げられている。また、津久井県については、『武蔵』で多磨郡等を担当し た八王子千人同心が、引き続き命を受けて調査・執筆を行った。(「#21 鎌 倉攬勝考」参照) 内 容 首巻と本編125巻から成る。『新編武蔵風土記稿』の編集方針を引き継 ぎ、構成・内容・体裁等ほぼ同様である。調査時に収集した古文書(『相州 文書』(#37))を関連箇所に引用し、風景・社寺・古器物等の絵を挿入してい るのも共通である。『武蔵』との相違点をいえば、本書は巻之２「建置沿 革」、同３「山川」が簡略で、逆に巻之４～11の「芸文部」に収録された文 献は圧倒的に多くなっている。また、各郡冒頭の絵図は、『武蔵』が「正保 改定