2009年立教大学社会学部社会学科卒业论文要约.doc

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2009年立教大学社会学部社会学科卒业论文要约

親子の葛藤はなぜ起こるのか ―家庭教育のあり方が子どもの内面に与える影響― 06DE164T  森田 美帆子 第一章 本研究の問題意識と目的 1.1 問題の所在  近年政府の施策にも表れているように、「子どもが非行や問題行動に走る原因は、家庭での子育てに原因がある」という認識が世間一般の理解となっている。90年代半ばより顕著に増加した、家庭教育のハウツーを語る雑誌記事や書籍などのマスメディアにおいても、結果的に家庭教育の改善?向上を目指すベクトルへと合流している。  その発端となったきっかけとして、1997年春に神戸で起きた連続児童殺傷事件(通称「酒鬼薔薇事件」)が挙げられる。親にとって「普通の子」「自分の子」「犯罪を起こす子」の境目が明瞭でなくなった。そしてどんなに愛情を持って育ててきたつもりでも、一度子どもが非行や問題行動を起こせば、世間の目は冷たいことを物語っていた。  世間の関心に合わせて90年代後半以降、教育基本法に家庭教育に関する条文が盛り込まれるなど、家庭教育に対する政府的介入が強力に推進されている。1998年、当時の橋本龍太郎首相による「心の教育」の必要性を謳った中央教育審議会答申がまとめられた。そしてこの答申後、文部科学省は厚生労働省と提携して、「家庭教育手帳」「家庭教育ノート」「家庭教育ビデオ」の作成?配布に取り組みはじめる。  こうした中で、現在日本の子育ての終着点は、80年代以前におけるような受験学力に特化したものではなくなった。それよりも、意欲や関心、人間関係能力など十分な「社会化」を促すことが、家庭教育への強い期待?圧力となっている。  しかし本来、大多数の親は子どもに健全に育ってほしいと願っている。それでも子どもは思う通りには育たない。子育てに熱心であればあるほど「子育ての責任は家庭にある」という呪縛は親にとってプレッシャーに他ならない。しかし「専業主婦だから子育ては順調」「家族が一緒に御飯食べているから大丈夫」といった理論はもはや形骸化している。そうした中で、親子の葛藤はなぜ起こるのか、親は我が子に対しどのように関わっていくのが望ましいのかを考えることは、今後に向けて十分な意義を持つと考える。 1.2 非行化原因に関する総合的研究調査の結果から  子どもの非行や逸脱行動は、親子関係の葛藤をうかがわせるものとして非常に重要な研究対象となることから、次の調査について触れたい。平成11年内閣府総務庁青少年対策本部が行った「非行原因に関する総合的研究調査(第三回)」の結果は、非行化要因の一つとして親子関係の問題を認めている。  この調査は昭和52、63年に続き、第三回調査が平成10年9月に行われた。一般少年9620名(全国15都府県の公立小学生?中学生?高等学校生 計90校)と非行少年1270名(補導少年637名、少年鑑別所在所少年633名の合計)とその保護者2061名を対象とした大規模質問紙調査である。  非行化原因をめぐる20年間の変化について、全体的な傾向は以下の通りである。 一般群についてはここ20年で大きな変化は見られないが、学校への不適応感や不良行為体験が増加するなど好ましくない方に向かっている要因も見られる。全体にみて子どもの世界は、決して良い方向に向かっているとは言えない。一方、非行化への要因(非行群で比較的多い状況)の分野としては,親子関係、日常生活、学校関係、性格面等、ほぼ全分野にわたっている。 1.3 研究の目的 本研究では、どのような家庭教育のあり方が子どもの内面に影響を与えていくのかを解明することを目的とする。結論部では、親は我が子に対しどのように関わっていくのが望ましいのかについても考察していきたい。 決して一部の親が子どもに対する努力や配慮を怠っていると責任を問いただすことが目的ではない。大半の親が子どもに対して自らが最善と考え実行可能なだけの教育や配慮を行っているにも関わらず、その結果に相違があるのはなぜだろうか。本分析では家庭における子育ての質的なあり方、日常的な親の行動が、家庭教育の結果として子どもにどのように受け取られ、子どもの内実にどのような影響を与えているかを追求したい。 1.4 先行研究(略) 1.5 仮説 従来、家族社会学研究は親調査に依拠したものがほとんどであり、肝心の子どもの意識まで十分な分析がされてきたとは言えない。前述した畠中?木村(2006)や佐々木(2009)の研究は、子どもの内面を量的分析した数少ない論文である。しかしそれらの研究も父母いずれかの研究であり、親子関係の限られた側面に限定されていることから、本研究では以下の仮説に基づき分析を行う。 【作業仮説】 1)親による子どもに対する関心、子育てに対する考え方、親自身の普段の行いなど、それら

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