中央构造线南朝と修験者-豊桥図书馆.PDF

中央構造線①南朝と修験者 三遠南信地区の急峻な山里に は、 隠れ里・ 落人の村が多い。 修験者回峰ルート 修験者も多く移り住んだ。 山崎一司著 『隠れ里の祭り』 富山村教育委員会刊 都落ち・南朝皇子 豊根村富山に残る『 田辺氏家 伝年代記』 によれば、熊野別当 の子孫は、南北朝争乱期に南朝 の皇子「 大塔宮護良親王」 と行 動を共にし、奥三河へたどり着 き開郷したという 。 三遠南信地域には、南朝の皇 子や天皇の話が多い。 豊橋市石巻山近く 、神郷地区 にある広福寺は「 玉川御所」 と いわれ、長慶天皇の仮御所とな ったこともあるという 。 い いだ に 遠州では、井伊谷宮「 宗良親 王」 の話。 さらに、信州阿智村 ゆきよし での尹良親王親子の自刃。 南朝 哀史が豊富な地であった。 南朝を支えた財力 南朝方の伊勢の北畠氏は、伊 勢の山中（ 現松阪市） で南朝を しんしゃ 支えた。 軍資金は、紀伊半島・ 中央構造線上に豊富に産出した辰砂（水銀朱） であった。 水 銀朱は、鍍金用・ 朱塗り の魔除け･薬などに利用。櫛田川・ 紀の川の水運を通して流通した。 修験者のネットワーク ・新田義貞挙兵を一夜で伝達 山を介した修験者のネット ワークが、南朝の皇子や南朝方を支えた ともいわれている。『 太平記』 に、新田義貞挙兵のニュースは一夜にし て日本各地に伝わったという 。修験者の面目躍如である。 鳥羽の海。海を渡って続 いている中央構造線 中央構造線を熟知 ・修験者修行回峰ルート 三遠南信地域への伊勢からの流れは、 中央構造線の流れに沿って自然であった。 さらに、 三河の鳳来寺山・遠州の秋葉山。信州の諏訪大社を結ぶ線は、修験道の修行コースであった。 中央構造線とは？ 中央構造線② 日本で最も長い （約 ）断層 日本一長い断層 中央構造線説明板 ：鳳来寺山自然科学博物館蔵 中央構造線③鳳来寺山 鳳来寺は「利修仙人」 によって奈良期に開山された。 「仙人」 が「 開山」 した寺は、全国的にも珍しい。 赤・ 青・ 黒の鬼を従え、空を飛び、天皇の病を病気 治癒の術で直したという 。 鬼と鳳来寺田楽 にゅうじょう 利修仙人入 定時、鳳来寺 利修仙人 ：鳳来寺山自然科学博物館提供 を守るため鬼は首を切られ、 本堂下に埋められた。 国指定重要無形民俗文化財『 三河田楽』 の一つ「鳳来寺田楽」 は、作物の豊作と、利修仙人の家来であった 鬼の慰霊から始め られたという 。 せきひつ 鳳来寺本堂下の石櫃発見 ・金文字の 「鬼骨入」 昭和年鳳来寺本堂再建時、旧本堂下から石櫃を掘り 出した。 金文字で「 鬼骨入」 とあり。 中に、頭骸骨。伝説の鬼が、俄然 真実味を帯びてきた。 骨は